top of page

TRADITIONAL CHINESE MEDICINE

中医学の豆知識

keiro_02.jpg

経路

日本でもおなじみの経絡やツボを使った治療は非常に古い歴史を持っているのですが、それを現代にも残る書籍として集大成したのが前漢時代に変遷された「黄帝内経」と言われております。現代でもほぼそのまま通じる内容であり、2011年にユネスコの世界遺産に登録されました。

現在の経絡や経穴(ツボ)はその後千数百年に渡りほぼ修正される事なく使われております。それだけ長い歴史の中で有効性が証明されてきたと言っても過言ではありません。
長年、経験的に経絡やツボを使った病気の治療の有効性が確かめられていたものの西洋医学の解釈では解剖学的にみて経絡やツボの存在を証明できませんでした。(人体を解剖しても経絡のような線は実際に存在しないし、ツボについてもなんら解剖学的な特徴を認める事ができません。)
しかし、近年になり経絡は発生学で言うところの筋膜の構造(ファッショア)とほぼ一致していることから筋膜を伝わる体内電流のネットワークが経絡の正体ではないかと考えられており、さらなる科学的な解明が待たれるところです。(ちなみに日本ではおなじみのユンケル黄帝液の「黄帝」はこの​「黄帝内経」からとっているそうです。)

奇穴(ツボ)

経絡の正体が筋膜を伝って流れる体内電流であるとすると、ツボはその電流が体の表面に最も現れやすいところと考えられます。(雷が空から地上に落ちる際、空気の中のもっとも電気抵抗が少ない場所を通って地上に落ちることが知られていますが、原理としては非常に似ています。体内で発生した電流が最も電気抵抗の少ない筋膜のネットワークを伝って流れており体表に近いところにでているのがツボと考えられます。)
 

tsubo_02.jpg
keiro.jpg
tsubo_01.png

そのため体の中にある内蔵を始めとした機能機関に障害がでたり運動が滞ったりすることがあれば、そこから電気が発生して経絡を伝わり体表に流れ、ツボのあたりに電流がでてくることからツボ周辺に違和感を感じたり、痛みを感じたりする事があります。鍼灸のような治療では、逆にこのツボに刺激を与える事で体の表面から体内に経絡を伝って逆向きに体内電流を通す事で体の中に作用をさせると考えられます。ただし、こちらもまだ諸説がありますので完全に解明されたとは言い難く現時点では有力な仮設と言う事になります。

五臓六腑

日本でもおなじみの言葉ですが、五臓とは、肝・心・脾・肺・腎をさし、六腑とは、胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦を示します。ただし、多くの人が誤解している事として肝は肝臓、心は心臓、脾は脾臓と言うようにそれぞれの内蔵の事をさしていると思われているのですが、それは中医学の本来の概念とは異なります。
本来の意図は、肝は肝と言う機能を示し、心は心と言う機能を示しています。実際に肝は肝臓と密接な関係性があるものの、肝の機能を担うのは肝臓だけでなく、体内の色々な臓器や血液その他で構成される機能の一つであり、これら複数の機能が健常者ではバランスを保っているのですが、病気になるとこのバランスが崩れ、心の機能が弱くなったり、脾の機能が強くなり過ぎたりすると考えられています。(これは直接的に心臓が悪くなるとか脾臓が悪くなったと言う事を意味する訳ではありません。)

gozo.jpg
kanpo_01.jpg

逆に言うとこのバランスを元の良い状態に戻せば再び健康体になる訳なので、中医学では最初に診断を行い、どの機能がバランスを崩している原因になっているかを突き止めて、その機能を回復もしくは暴走を抑える事で体のバランスを再び取り戻すのが究極の目的となります。ちなみに、治療の方法には鍼灸のようなツボや経絡を追加って五臓六腑に働きかける事や、漢方薬を使う方法など様々です。

現代において多くの人がこの機能であった肝や心などを肝臓や心臓など個別の臓器の事と誤解するようになった原因は、1744年に日本で杉田玄白らによる解体新書(ターヘル・アナトミア)をオランダ語から日本語に翻訳される際に臓器の名前として肝臓・心臓・脾臓など五臓六腑の漢字を割り当てられた為です。当時の中国では人間を解剖すると言う事はあまり行われておらず、解剖学はおもに西洋で発達しました。それを日本人が翻訳をし中国に輸入されたところ、逆に中医学の本場である中国でも臓器の名前として使われるようになった言う事なので面白いですね。

bottom of page